無線通信を高速化する最新技術のキャリアアグリゲーション。

携帯やWiMAXなど広く利用されています。

キャリアアグリゲーションとは具体的にはどんな技術なのか、徹底解明します!

高速化している無線通信

光回線などの固定回線と違い、無線通信は遅いと思っている方、意外と多いかもしれません。

しかし無線の通信技術は日々進化。

現在ではエリアは限られるものの、スマホなどLTEで下り最大375Mbps(ドコモの場合)、WiMAXでも下り最大440Mbps程度の速度が出るようになっています。

こうした無線通信の高速化になくてはならない技術、それがキャリアアグリゲーションなのです。

電波を束ねて速度を上げるキャリアアグリゲーション

そもそも、キャリアとは「運送するもの、運搬人」、アグリゲーションとは「集合体、集約」といった意味。

通信という点から考えるとキャリアは「電波」という意味に捉えることもできるので、キャリアアグリゲーションとは「電波を集約する」という意味になります。

実際に、キャリアアグリゲーション技術では通信する電波をいくつか束ね、安定した高速通信を可能にしています。

と言っても電波で考えると少し分かりにくいかもしれないので、ホースを利用して容器に水をためる場合をイメージしてみてください。

1本のホースを使って水をためるより、2本のホースを使った方が速くたまりますよね。

キャリアアグリゲーションもこれと同じ仕組み。

具体的には、下り最大150Mbpsと下り最大75Mbpsの電波を束ねて、下り最大225Mbpsとする、といった感じです。

キャリアアグリゲーションのメリット

この技術を利用するメリットは、高速通信が可能になるだけではありません。

複数の電波を利用することによって、たとえ1つの電波の通信状況が悪化した場合でも、他の電波を利用することで安定した通信が可能になります。

これは道路をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。1車線の道路(電波)にたくさんの車(ユーザーや伝送される情報量)が走ると混雑して流れが悪くなりますが、車線が増えると車の流れもスムーズになりますよね。

これと同じです。

また電波の組み合わせも1通りではありません。

複数の組み合わせを最適に利用することで、通信環境に応じた効率的な通信ができるように。

通信の安定性にも一役買っている技術なんです。

キャリアアグリゲーションの注意点

無線通信では、電波を発信する側の設備や技術だけでなく、受信する側の設備や機能も重要になってきます。

なぜなら、受信する側にその電波を受け止めるだけの機能が無ければ、受信することができないからです。

そのため、私たちが利用する端末が古かったりしてキャリアアグリゲーションに対応していなければ、いくら技術的に通信速度が速くなっても利用することはできません。

また、キャリアアグリゲーションでは下り(受信)の速度は上がっても、上り(送信)速度は変わりません。

つまり、SNSなどに写真や動画をアップするような場合はこれまでと同じ速度ということになります。

さらにもう1つ。この技術を利用した通信速度の最大値は、実は事業者によって異なっています。

ここからは事業者別の通信速度を見てみましょう。

下り最大375Mbps! トップを走るドコモ

現時点で携帯電話(LTE)の通信速度が最速なのはドコモで、その値は最大で375Mbps。

この速度は周波数の異なる3つの電波を束ねることで実現。

2GHz(最大112.5Mbps)と1.7GHz(最大150Mbps)、800Mhz(112.5Mbps)をまとめて、375Mbpsとなります。

ただし、最大375Mbpsに対応しているエリアは東名阪の一部のみ。

その他のエリアでは、下り最大337.5Mbps(スマートフォンの場合)。

2GHz、1.5GHz、800Mhzそれぞれ最大112.5Mbpsを集約)や370Mbps(Wi-Fiルーターの場合。3.5GHzの最大110Mbpsが2本と1.7GHzの150Mbpsを集約)をはじめとした高速通信を提供中です。

なお、375Mbpsに対応している端末はiPhone7やiPhone 7plusをはじめ、これから販売される秋冬モデルに限られています。

auも下り最大370MbpsだがiPhone7は非対応

auも4G LTEとWiMAX 2+の電波を集約し、下り最大370Mbpsを実現。現在は渋谷駅や山手線の主要駅、名古屋駅、梅田駅周辺が対応エリアとなっています。

ただし、auの場合はドコモの場合と違って、iPhone7が非対応。

最新モデルのAndroidのみが対応しています。

iPhone7をはじめとしたApple製品の場合は、下り最大225Mbpsとなります。

ソフトバンクは下り最大262.5Mbpsのサービスを展開

ソフトバンクの場合は下り最大262.5Mbpsが最速。

しかし、対応エリアは都内や千葉の一部エリアにとどまっています。

エリアが非常に狭いため、実質的には最大187.5Mbpsが最速といったところになるでしょう。

ソフトバンクの場合はキャリアアグリゲーションよりも、更に先を見越した技術をアピール。

2020年に運用開始予定の5Gの主要技術である「Massive MIMO」といった新技術をどこよりも早く提供することに力を入れているようです。

WiMAXは440Mbpsに対応

最後に、無線タイプのインターネットでおなじみのWiMAXについて見てみます。

WiMAXの最高速度は440Mbps。

WX03という最新のモバイルルーターが2016年12月に発売されて440Mbpsになりました。

4x4MIMOとCA技術の融合でこの速度を実現。

ただし対応エリアはまだ東名阪エリア限定です。

WiMAXでは別にW03というモバイルルーターで下り最大370Mbpsに対応。

この370Mbpsという数値は「ハイスピードプラスエリアモード」で利用でき、WiMAX 2+とau 4G LTEを組み合わせた結果出る数値です。

LTEを利用するオプションとなり、この通信を利用する場合は別途1,005円の料金が発生します。

さらに、ハイスピードプラスエリアモードでWiMAX 2+およびau 4G LTEの通信量合計が7GBを超えると、通信速度は128kbpsに制限。

これは月間の通信容量に制限がない「ギガ放題」プランに加入していても通信制限となり、WiMAX 2+での通信も制限の対象となります。

つまり、余計に料金が発生するうえに通信制限がかけられるというわけです。

ただしauユーザーは追加料金が発生しないので、auユーザーにありえる選択肢です。

もちろん、ハイスピードプラスエリアモードで利用しなければ、下り最大220Mbpsでギガ放題なら月間のデータ通信量は無制限。

WX03が発売されたことで、WiMAX2+の電波だけで440Mbpsが可能になりました。

本命はWX03の440Mbps。

WiMAX電波状況が悪くてLTEの電波も拾いたいなど特殊な理由があればW03のハイスピードプラスエリアモード。

今はそう考えて良いでしょう。

実効速度はこれより遅い

最後に1点、知っておいてもらいたいことがあります。

それは今回ここで示した下り速度の数値は、あくまでも理論値であるという点。

そのため、実効速度としてはこれよりも遅くなります。

同じキャリアの同じ端末であっても、通信速度は環境によって変化します。

とは言え最大速度が上がっているということは、実効速度も以前より速くなっていることに違いありません。

キャリアアグリゲーション以外にも、通信速度を上げる技術は存在します。

これらの技術と組み合わせることで、無線通信の速度は今後も向上していくことでしょう。